ワインにとって、原産地呼称の制度はとても大事なこと。にもかかわらず、ロシアで驚くべき法律が2021年7月2日に成立、世界的に発表されました。
なんとロシア国産のスパークリングワインのみを「シャンパン」と呼称し、シャンパーニュ地方を含めフランスなどで造られる外国産のものは「スパークリングワイン」と表記せよという法律が成立。フランスはもちろん、世界中で波紋が広がっています。
これを受けて、シャンパーニュ委員会(C.I.V.C.)は7月5日に、プレスリリースを発表。また、同日本事務局からは、日本における規定についても記されています。
※プレスリリースの内容を、以下に転載します。
シャンパーニュ、ロシアの新法律に対し厳重抗議
シャンパーニュは、ロシアで新たに制定されたワインの表示に関する法律に憤慨している。
今回成立した新法によると、シャンパーニュの表ラベルの「Champagne」というアルファベット表記はそのままでよいが、裏ラベルに《Shampanskoe(露語でシャンパーニュの意)》と記載できなくなり、キリル文字で「スパークリングワイン」として表示しなければならなくなる。今後《Shampanskoe》という名称を表記できるのはロシア産スパークリングワインのみとなる。
シャンパーニュ委員会の共同会長マクシム・トゥヴァール、ジャン・マリー・バリエールは以下の通り声明を出した。
『我々シャンパーニュから「シャンパーニュ」の名称使用(キリル語での)を奪うとはありえないスキャンダルである。 シャンパーニュのワインはシャンパーニュ地方にとって独自の、かけがえのない歴史的財産である。』
この新法によってロシアの消費者がワインの起源と特性に関して明瞭で透明性ある情報を得られなくなること、またフランスとロシア間で20年以上にわたって続けられてきた原産地保護協議が無為に帰することを委員会は極めて遺憾としている。現在、ロシア当局から予告のなかった新法の詳細と影響の分析確認がすすめられている。
シャンパーニュの名称は世界120カ国以上で保護されている。
シャンパーニュは、容認しがたいこの法律の修正を求めるべくフランス及び欧州の外交筋に上訴している。ジャン・マリー・バリエールとマクシム・トゥヴァール共同会長は、シャンパーニュ各社へ事態が明らかになるまでロシアへの出荷を全面停止するよう求めている。
シャンパーニュ委員会日本事務局より
日本では、《Shampanskoe(露語でシャンパーニュの意)》と表示のあるロシア製スパークリングワインは、その表記を消したラベルに貼り替えないと販売できません。 California Champagneのラベルを日本ではCalifornia Sparkling Wineのラベルに貼り替えて販売しなければならないのと同様です。
また、日本では、EUと日本との経済協定EPAにもみられるように「シャンパーニュ」、「シャンパン」、「シャンペン」の3語ともシャンパーニュ名称保護の対象となっております。シャンパーニュ産以外の発泡ワインは スパークリングワインと呼ばれます。
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シャンパーニュ委員会日本事務局