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【賞味期限】はワインにもある?未開封と開封後での保存方法の違いや飲み頃の目安も。

2021.7.26

「そう言えば、ワインに賞味期限ってあるのかな?」

ワイン初心者なら、一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。ワインも飲料なので、おいしく安全に口にすることはとても大事なこと。当然の疑問と言えるでしょう。

そこで今回は、今さら聞けない“基本のキ”の一つとして、ワインの賞味期限をテーマにお伝えします。そもそも賞味期限とは何か、保存方法も未開封と開封後では何が違うのかなどを、できるだけわかりやすく説明していきます。

そもそも賞味期限とは?消費期限との違い

ワインの話に入る前に、そもそも「賞味期限」とは何なのでしょうか。また賞味期限と似た言葉で「消費期限」という用語がありますが、その違いも併せて説明するところから始めましょう。

いずれも「袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合」ということが前提条件となり、農林水産省のWebサイトでは、以下のように説明しています。

■賞味期限
品質が変わらずにおいしく食べられる(飲める)期限のことで、スナック菓子、カップめん、チーズ、缶詰、ペットボトル飲料などに適用されています。

■消費期限
安全に食べられる(飲める)期限のことで、お弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなど、賞味期限の対象よりもいたみやすい食品に表示されています。

本来のおいしさを味わうための目安を意味する「賞味期限」と、衛生・安全性を保証する「消費期限」。この2つで考えれば、ワインは「賞味期限」の対象になりそうな気がするかもしれませんが、さにあらず!次にワインの特性に注目しながら、説明していくことにしましょう。

ワインに記載されるのは賞味期限ではない

実際に、ワインボトルを見てみましょう。高級ワインであろうと、カジュアルなワインであろうと、正面や裏面のラベルに記載されているもので日付らしき数字は、ヴィンテージ(原料ブドウの収穫年)だけかと思います。ましてや、複数年のものをブレンドするシャンパーニュなどは、ヴィンテージすら書かれていません。

ワインには色々なものがあり、フレッシュなおいしさが魅力のワインもあれば、何十年もの熟成を経て“飲み頃”を迎えるワインもあります。それは、ワインビギナーでも知っていますよね。

そう、ワインは“品質が変わらずにおいしく飲める期限”なんて設定できません。基本的にワインには腐るという概念がないから「賞味期限」の対象にはならないのです。

でも、腐ることはなくても、ずっと同じ香りや味わいで飲めるということではなく、劣化はしてしまいます。賞味期限や消費期限の前提条件にあった「袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合」と似たような条件が、劣化させずにワインを楽しむ場合においても重要なポイントとなります。

そこで、未開封の場合と開封(抜栓)後の場合に分けて、保存方法のポイントや飲み頃の目安を整理していきましょう。

【未開封】はいつまでおいしく飲める?

未開封のワインをおいしく飲める期間をできるだけ長く保つためには、その保存環境が大きく左右します。まずはワインを劣化させてしまう原因とそれを防ぐ理想的な保存条件を挙げてみましょう。

■光 →直射日光も蛍光灯の光も当たらない暗い場所
■温度 →13~15℃が一般的なワインの理想的な温度
■乾燥 →70~80%の理想的な湿度(コルク栓のワインは乾燥防止のため寝かせて置く)
■振動 →ボトル内で化学変化が起こるため静かな場所

近日中に飲むワインならOKなのですが、長く保存しておきたいワインの場合、頻繁に開け閉めする冷蔵庫は、光、温度、乾燥、振動と全ての面で不向きです。

それよりは、ワインボトルをラップと新聞紙で包み、寝かせた状態で段ボール箱に詰めて、玄関の靴箱の下や床下収納、クローゼットなどに入れておく方がいいかもしれませんね。(夏は厳しいですが…)

理想の条件をすべてクリアするために「ワインセラー」があります。ワイン愛好家には欠かせないものですが、初心者にはちょっとハードルが高い…。パーフェクトは無理でも、できるだけ条件に見合った場所を見つけて保存しましょう。

飲み頃についても、ワインの数だけその個性や特性がありますので、そう簡単にはいきませんが、ワイン初心者にとっては、せめて“目安”が知りたいところ。以下、カジュアルで一般的なワインの場合として参考にしてみてください。

■スパークリングワイン →なるべく早めに
■白ワイン・ロゼワイン →1~2年以内
■赤ワイン →2~3年以内

もちろん、熟成に向いた高級ワインは飲み頃が10年、20年、30年以上先というものが多くあります。そういうワインは、ぜひ「ワインセラー」の中で保存したいものです。

【開封(抜栓)後】はいつまでおいしく飲める?

未開封のワインの場合、光、温度、乾燥、振動が避けたいものとしてありましたが、開封(抜栓)後は、酸素(空気)も保存の大敵となります。

ワインは、酸素に触れることで酸化していきます。飲む時に空気(酸素)と触れ合わせて香りを引き立てるスワリングは効果的ですが、保存状態においては劣化の大きな原因となります。

「スワリング」について知りたい方は、グラスをくるくる・・・ワインの【スワリング】の意味とNG、すべて教えます!をチェックしてみましょう。

開封(抜栓)後の保存方法としてはまず、酸化を防ぐために栓をすること。コルクを戻し入れるとコルクのにおいがワインに移ることもあるので、ボトルキャップを使うのがおすすめです。

手動ポンプでボトル内を真空に近づけるキャップも、1,000円前後で買えるものが多いので、常備したいアイテム。スパークリングワインには炭酸ができるだけ抜けないように密閉タイプのボトルストッパーを使いましょう。

また「ワインって、開けたらどれくらい持ちますか?」というのは、ワイン初心者からよく聞かれる質問ですが、未開封のワイン以上に千差万別。ワインの“質”に寄るところが大きいため、回答は一概には言えませんが、開封したワインは「できるだけ早めに飲み切る」というのが大前提です。

保存場所については、常温NG。早めに飲み切るなら、雑菌の繁殖を避けるためにも、冷蔵庫保存が基本です。

その他のポイントや飲み頃の目安、「酸化防止剤無添加ワイン」や「スクリューキャップ」のワインの場合などについては、ボトル1本飲みきれない!残ったワインの保存と活用 で詳しく説明していますので、そちらもぜひお読みください。

飲み残しワインの第2の人生は、煮込み料理やサングリアで! 

「うっかり放置して、飲めないわけじゃないけれどおいしくなくなってしまった」なんていう場合は、捨てずにワインを有効活用。おいしい“第2の人生”を歩ませてあげましょう。

白やロゼなら、魚の蒸し料理や鶏肉のソテーに、赤ならビーフシチューやカレーなどの煮込み料理に活用するのが定番です。家飲みをさらにおいしい時間にしてくれるので、新たな料理に挑戦するのも一興です。

また、飲み残しワインのアレンジとして定番なのは、スペイン生まれのフルーツワイン「サングリア」。

こちらは、本場仕込みのレシピや色々な簡単アレンジも紹介した記事、カンタン&癒される “おウチでサングリア”!飲み残しワインのおいしいアレンジ術 がありますので、ぜひ一度試してみてください。

「抜栓したら、完全にブショネだった」という場合は、飲むのを諦めた方がいいですが、「少しブショネのような気もするけれど、飲めないほどではないんだよな…」なんていう場合なら、料理やサングリアへの活用は有効です。

■ブショネとは
劣化したワインを表す用語の一つで、ブション(コルク)に起因する品質劣化のこと。「コルク臭」とも言われ、「濡れてかびたダンボール」や「蒸れた雑巾」などに例えられる不快臭がする。コルクの原材料であるコルク樫に元々存在していたか、成形の過程で発生した化合物TCA(トリクロロアニゾール)が原因。

ワインは賞味期限の対象品ではありませんが、他の食品と同様、未開封であっても日々熟成変化があるもの。1本1本のワインと向き合い、その経験を積むと、おいしく飲むための見極めやコツが自然と身についていきます。

 

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WINE@MAGAZINE編集部
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