10月末に向けて、日本でもオレンジ色のカボチャなどの装飾がすっかり定着しました。コロナ禍の影響もあり、仮装して街中で大騒ぎするようなことは減ってきていますが、かえって「本来のハロウィンとは何か」を知るにはいい機会かもしれません。
そこで今回は、ハロウィンの意味や由来を学びつつ、ワイン好きな方にハロウィンシーズンに楽しんでほしいワインを10本ご紹介します。
見た目にも楽しく、味もおいしいワインは、気の置けない仲間や家族と楽しむアイテムとしてハロウィンの時間を盛り上げてくれるはずです。
この記事の目次
ハロウィンって、そもそも何?意味や由来は?
日本のみならず、世界の多くの国々で10月31日に民間行事として楽しまれるようになったハロウィンですが、もともとは秋の収穫を祝い、悪霊を追い払う宗教的な意味合いのあるヨーロッパの行事でした。
そのルーツは、ケルト民族の宗教儀式の一つ「サウィン祭」。古代のケルトでは、11月1日から10月31日が1年とされていて、大晦日にあたる10月31日に、死んだ人の魂や悪霊、さらに魔女が現世の町中にやってくると信じられていました。
時とともに、古代ローマやキリスト教の文化が古代のケルトの風習と混じり合い、カトリックの聖人の日である11月1日の万聖節「All Hallow」と重なり、その前夜「All Hallows Eve」が転じて「Halloween(ハロウィン)」と呼ばれるようになったのだとか。
死者の霊や悪霊たちが家に入らないよう(もしくは先祖の霊が自分の家だとわかるよう)、かがり火を焚いたことから、黒とオレンジ色がイメージカラーとなったというのも頷けますし、アメリカでは子供たちが魔女やお化けに仮装して「Trick or treat(お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ)」と唱えて近所を練り歩き、お菓子をもらったりするようになった理由もここにあるわけです。
日本では、仮装の部分がフィーチャーされて街イベントなどに発展したわけですが、本来は、言わば“欧米のお盆”。ドクロなどがデザインされたポップなアートラベルのワインを楽しみながら、家族や仲間とゆったり過ごすのも悪くなさそうです。
【カリフォルニア】ドクロのラベル&飲みごたえもあるワイン3本
「Trick or treat」の風習があるアメリカ。カリフォルニア・セントラルコーストの南部、パソ・ロブレスにあるワイナリー「クロニック・セラーズ」には、ハロウィンにぴったりのワインがあります。
“スカル(ドクロ)”をモチーフとしたラベルは、一度見たら忘れられないインパクト!ですが、ワインビジネスを10年間学んだジェイクとジョシュのベケット兄弟が手がけるワインは、“完成度の高い味わい”ありき。
どんなワインかをイメージしてワインの名前を決め、その後兄弟の友人の木版画家が独創的なスケッチを描き、そのファンキーなデザインが生まれます。
テイスティングルームには、地元のサーファーやバイカーが集い、にぎやかで楽しい雰囲気なのだそう。現地で飲んだらさらにおいしい体験ができそうです。
ポップなジャケットのプティ・シラー
ハロウィンにぴったりのドクロだけでなく、ポップさも満載のデザイン。WINE SELECTORSのソムリエ・林やよいさん曰く「まさに“キング・オブ・ジャケ買い”」。
紫蘇(しそ)のような香りとジューシーな果実味で陽気な味わい。日本でも人気が高いカリフォルニアワインですが、「プティ・シラー」という品種を選ぶ人は少ないのではないでしょうか。ハロウィン・ナイトに、未知の体験をプラス!
“ドクロ” ど真ん中は、ジンファンデルが主役
黒いラベルにドーンとデザインされたドクロのイラスト。まさにハロウィンにぴったりのワインです。
理想的な気候と言われるブドウ畑から収穫されたジンファンデルを主体に、ローヌ系の品種をブレンドした1本で、バニラやコーヒーなどの香りとともに、熟したイチゴのような果実味もたっぷり。
スパイス感など風味に複雑性があるので、メインの肉料理はもちろん、デザートのパンプキンパイもこの1本で楽しめそうです。
チャーミングなグルナッシュロゼ
ドクロのシリーズには、チャーミングなロゼワインもあります。ローダイとパソ・ロブレスで手摘み収穫されたグルナッシュを使用した、美しいサーモンピンク色のロゼワインです。
赤いベリーやプラムのフレーバーとともに、スパイス感もあり。甘やかな果実味と穏やかな酸味が心地よく、色々な料理に合う懐の広いワインです。
「ピンク・ペダルズ」という名前は、ラベルに描かれた自転車の“ペダル”と芳しい花の“ペタル(花弁)”の掛け言葉にもなっているのだとか。ハロウィン女子会なら、このロゼが一役買ってくれるかもしれません。
【オーストラリア】ポップなイラストラベルの宝庫
BYO(飲食店へのワインの持ち込み)の文化を広めたオーストラリア。昔、アルコール販売の免許を持てなかったオーストラリアの飲食店では、食事と一緒にアルコールを楽しみたいお客さんのために「好きなお酒を持ってきて、うちの自慢の料理を楽しんでください」というサービスを始めたと言われています。
“Bring Your Own”、略してBYO。そんなワインの新たな楽しみ方を育んだオーストラリアは移民の国ということもあり、自由な発想で造られるクリエイティブなワインが目白押し。ポップアート満載のラベルワインはハロウィンの食事を盛り上げてくれること間違いなしです。
ルックスも味わいもイケてる!ロックな白ワイン
鮮やかな緑色のポップなラベル。さらにスクリューキャップのトップには、ギターピックのデザインがされていて、音楽好きにはグッとくるデザインになっています。
音楽とワインのある人生を愛する2人が、2013年にヴィクトリア州で始めたワイナリーが手がけるシリーズの1本。その味わいは、至ってクリーンで自然体。気張らずにいろんな料理とのセッションを楽しめるのが魅力です。
リースリング主体で、ゲヴェルツトラミネールをブレンド。現在のオーストラリアワインを象徴するような、自由で楽しい白ワインです。
タイポグラフィがカッコいい!オーストラリアの多様性ホワイト
モダンでポップ、無骨なのに上品。タイポグラフィのなんとも言えないカッコ良さがあるデザインの白ワインで、ハロウィンの持ち寄り会でこんな1本を持っていったら、モテ度が上がりそうです。
南オーストラリア州、温暖なマクラーレン・ヴェイルで育まれたリースリング、マルサンヌ、ソーヴィニヨン・ブラン、ルーサンヌの4品種のブレンド。
移民国の自由な発想と多様性も感じるワインで、白い花やグレープフルーツ、リンゴなどが香り、さわやかな柑橘系の果実味や酸味がギュッと詰まった味わいがあります。
集めたくなる!キリカヌーンのコミカルなシリーズ
造り手の「キリカヌーン」は、南オーストラリア、クレア・ヴァレーのカルトワインとしてロバート・パーカーなどから絶賛されるワイナリー。
メインのラインナップとは別に、“キリカヌーンの分身”として「Mr. Hyde(ミスター・ハイド)」というシリーズを展開していて、その中から3本をご紹介します。
映画『フル・モンティ』をはじめとしたモチーフも多彩で、絵本のようなストーリー性も感じられるラベルは楽しいものばかり。コミカルなイラストラベルのワインは、ハロウィンパーティーで話のネタにもなりそうです。
他の国にもポップなアートラベルのワインあり!
カリフォルニアとオーストラリア以外にも、ジャケ買いしたくなるワインがありますが、なかでも次に紹介する2本は根強いファンがいるワイン。ハロウィンの食事会でも失敗しないワインと言えるでしょう。
「ワインシュタイン」と呼ばれるポルトガルの赤
ワイン名の「レベル(Rebel)」は「悪ガキ」の意味。まさに“Trick or treat”の世界観にぴったりのワインです。
ポルトガル中部バイラーダ地方の造り手で、ルイス・パト本人はこのワインを「ワインシュタイン」と呼んでいるそうで、「舌を出しているアインシュタインのように自由に生きたい、自らの思いに忠実に生きたい」という想いを託したワインなのだとか。
土着品種のバガをメインにしたブレンドで、豊かな果実味とやわらかなタンニンに、心地良い酸味が全体をやさしく包み込む…そんなバランスの取れた味わいの赤ワインです。
魔女の使い?いいえ、福を招くネコのクレマン!
西洋のおとぎ話や童話には、魔女の使いとして描かれることが多い黒いネコですが、このラベルに描かれたネコはさにあらず。生産者が日本を訪れた時に見た“招き猫”にインスパイアされて造ってしまった、というおめでたい泡なのだそうです。
オーガニックで栽培されたブドウを使用し、シャンパンと同じ造り方をしたスパークリングワインですから、やさしくクリーミーな泡が幸福感を倍増させてくれるはず。ネコ好きの友達や家族とハロウィンを楽しむなら、この1本で決まりです!
ファンキーなアートワインで、ハロウィンを演出!
“大人のハロウィン”をイメージしながらWINE@マガジン編集部で選んだ10本のワイン、いかがでしたか。
どれもハロウィンの雰囲気を演出してくれたり、話題を提供してくれたりしそうなポップアートがラベルデザインに生かされているワインで、見た目だけでなく、味わいも太鼓判を押すものばかりです。
“欧米のお盆”でもあるハロウィン。家族や仲間の存在を改めて大切に感じながら、目にも舌にもおいしいワインで素敵な時間を過ごしてください。