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話したくなるワインネタ

そもそも「熟成」って何?熟成に向くワインとは?

2021.9.30

ワイン通が使うキーワード。「ワインは好きだし、興味はあるんだけど…」という初心者のみなさんをちょっと遠ざけてしまう言葉がたくさんあります。

ワインのみならず、ほかのことでも使われる言葉で、なんとなく分かっているけれど自分で説明しようと思うとイマイチ…そんなキーワードを改めて解説します。

今回のキーワードは熟成

そもそも「熟成」って何?熟成に向くワインとは?…さて、あなたはちゃんと説明できますか?

「発酵」と「熟成」はどう違う?

ワインはもちろん、チーズや漬物、そして、おなじみの味噌や醤油など、世界中の食文化は、たくさんの発酵と熟成の力を借りて成り立っています。

発酵は、微生物の力によって物質が変化すること。ワインのアルコール発酵の場合で言えば、酵母の力によって、アルコールと二酸化炭素が生み出されていくことを指します。

発酵と熟成はつながっているので、その境界線を明確に引くことはできませんが、熟成は、そこからさらに微生物や酵素の働き、酸素、そして外的環境(温度、湿度、時間)の総合作用によって、アミノ酸などの物質が変化し、それまでにない風味や特徴がつくられていく現象をいいます。

「酸化」や「腐敗」も同じこと!?

「酸化」は、酸素の影響を受けて物質が変化していくことなので、実は熟成の一部。「腐敗」や「劣化」も、現象としては同様のことなのです。

つまり、いずれも同じような現象で物質が変化することを指すのですが、それが人間にとって有益なものであれば発酵や熟成と呼び、有害なものであれば酸化、劣化、腐敗と呼んでいるのです。

微生物や酵素、酸素、さらに温度、湿度、時間…とたくさんの環境要素が絶妙に組み合わさって起きる世界…そこには未だ解明されていないこともあるため、熟成はまさにミラクルワールドと呼ぶにふさわしいものなのです。

ワインの熟成とは?色、香り、味わい、すべてに影響あり!

熟成は、ワイン愛好家にとって大きな醍醐味、楽しみの一つと言えるでしょう。外観、香り、味わい…すべてにおいて、熟成は変化をもたらします。ワインの熟成に必要な要素は、ワインに含まれている有機酸、ポリフェノール、タンニン、アルコールや残糖分などがあり、それらの量が多ければ多いほど、時間をかけて熟成されていくことになります。

外観で言えば、鮮やかな色が落ち着いたトーンの色に変化。白ワインなら緑っぽさ、赤ワインなら紫っぽさがなくなり、徐々に茶色っぽい色になっていきます。

香りでは、フレッシュな果実のニュアンスがなくなっていく代わりに、ナッツやスパイス、きのこやなめし革などの独特な香りが加わり、複雑なものになっていきます。

味わいは、全般的にマイルドな傾向に。酸味や渋味が和らぎ、まろやかで口当たりがよくなっていくのが特徴です。

ただし、おいしいかどうかは、それらのバランス次第。未開封の状態でそれを見極めることは難しいので、知識と経験をもとに“飲み頃”を判断するのが、ソムリエの腕の見せどころとも言えるでしょう。

熟成に向くワインのポイントを、タイプ別に解説!

“熟成に向くワイン”は、どんなワインなのでしょうか。赤・ロゼ・白のタイプ別にポイントを整理してみましょう。

赤ワイン

赤ワインは果皮と種子を一緒に果汁と醸すため、アントシアニン(ポリフェノールの一種で赤黒い色のもと)やタンニン(渋味のもと)が多く含まれています。そのため熟成に向いたワインが多く、カベルネ・ソーヴィニョンやメルロといった品種のボルドーワインは、その代表選手と言えるでしょう。

おいしさのバランスには、酸も重要。繊細なバランスで熟成していくピノ・ノワールは、アントシアニンやタンニンは少なめの品種ですが、カベルネ系とはまた違う熟成変化の魅力を秘めています。

ロゼワイン

赤ワインほどアントシアニンやタンニンなどの成分が多くない、ロゼワイン。ピンクからオレンジ系のきれいな色合いと、フレッシュ&フルーティーな味わいを目指して造られているものがほとんどなので、熟成させることを想定したものはあまり多くありません。

白ワイン

白ワインの場合は、スキンコンタクトや樽熟成といった製法によって得られる成分が、熟成に向くかどうかの鍵を握ってきます。そして、果皮と種子と一緒に醸される“オレンジワイン”は、アントシアニンやタンニンなどもプラスされるので、熟成に向くものが多いということになります。また、そもそも持っている酸や、酸化熟成からくるフレーバーのバランスが、白ワイン熟成のポイントになります。

また、糖分が多く含まれている甘口ワインは、全般的に長熟に向いているワインです。これもおいしい熟成ワインという視点から、白ワイン同様、酸も重要な要素となります。

「熟成向き?早飲み向き?」をプロファイリング

熟成に向くかどうか。つまり、酸化で「劣化」するのではなく、「熟成」を促す成分の量や要素のバランスが実際どうなのかは、ワインのタイプや造り手の手法はもちろん、ブドウの品種や産地、そして生産年(ヴィンテージ)によっても左右されます。

今回の記事が、まずは「このワインは熟成に向くかな?早飲みした方がいいかな?」と考えるためのヒント、その第一歩になればと思います。その先は、知識と経験の積み重ね…まずは、生産者やテロワールの情報、ヴィンテージがわからなくても、ワインのタイプ別と味わいのマトリックスを入り口にして、探求していくのも一つの手法です。

まずは、いろいろなワインの情報をチェックしながら、ゲーム感覚で“プロファイリング”してみましょう。ある時「あ、これは熟成向きだろうな」とイメージできる瞬間がやってくるはずです!

味わいのマトリックスからワインを探す!

白・赤・ロゼ・スパークリングとワインのタイプ別のマトリックスがあり、酸味フルーティ感(果実味)、渋味や苦味などのポイントから、より具体的なワインを探せるようになっています。

■ワインのマトリックスは こちら

ワインマトリックスでは、「甘口ワイン」に該当する要素を説明していませんが、ハッシュタグの「#やや甘」「#デザートワイン等」は、「甘口ワイン」のカテゴリに属するワインです。
「#やや甘」とされるのは、1リットル当たりの糖分量が12〜45グラム、「#デザートワイン等」は1リットルあたり45グラム以上のワインで、甘口ワインのカテゴリに入ります。一般的に、辛口と言われるワインは、1リットル当たりの糖分が12グラム未満となっています。

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WINE@MAGAZINE編集部
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