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ワイン選びで頼りになる【分析の達人】WINE@トップソムリエ野坂昭彦の魅力に迫る

2021.5.31

誰だって“おいしいワイン”を飲みたい。でも、“おいしいワイン”って何?

ワインの様々な要素を紐解き、微細にわたるマトリクスから最適なワインをチョイスしてくれるのは、WINE@の人気コンテンツ【WINE SELECTORS(ワインセレクターズ)】のトップソムリエの一人、野坂昭彦さん。

まさに「分析の達人」と呼びたくなる野坂さんは、香港の高級レストラン「K.O. Dining Hong Kong」のチーフ・ソムリエ、「トゥール・ダルジャン東京」などを経て、現在は、5つ星のラグジュアリーホテルでシェフソムリエを務めています。その仕事やワインへの想い、その人柄に迫るべく、じっくりお話を伺いました。

好みのソムリエを見つけてワインを選ぶ「WINE SELECTORS」

ワインの知識に長けている有名ソムリエやシェフ(WINE SELECTORS)が、季節や様々なシチュエーションに合うおすすめのワインを紹介。ソムリエやシェフの普段は見えないプロフィール(出身、休日の過ごし方、好みの料理など)も分かるので、自分好みのワインを選ぶ強い味方になってくれます。
■詳しくは こちら

ホテルのソムリエは柔軟であれ。培われた感覚が物を言う

編集部

ホテルのソムリエというのは、レストランのソムリエと違いがあるものですか?

野坂昭彦さん(以下、敬称略)

ホテルのソムリエは、マルチタスクをこなせる柔軟さがなければならないと思います。また、歩く距離そのものが違うと思います。ホテル内の様々なレストランを巡回するので、歩数計のカウントは2万歩に及ぶこともあります。それから、各レストランやホテルのスタッフとのコミュニケーションが大切ですし、様々なタスクをこなせなければなりません。

編集部

忙しくなる時間というのは、それぞれのレストランで決まっているものなのですか?

野坂

忙しくなるタイミングは、その日、その日の予約状況や“匂い”のようなもので分かるんです。同じように、お客様を目の前にすると、そのお客様の求めているものが伝わってくる…これは、ソムリエという仕事の醍醐味なのかもしれません。

編集部

野坂さんと言えば、分析力の高さで知られたソムリエという印象がありますが、その「匂い」というのは、「勘」に近いものなのでしょうか?

野坂

「勘」というより、経験を積み重ねることで体得した感覚的なものでしょうか。その感覚と分析によって動いているものだと思います。

10の項目でワインを分析し、シーンやストーリーも加味する

編集部

ワインを評価する方法は、それぞれのソムリエのスタイルがあって、千差万別。自分の感覚、造り手のフィロソフィー、産地の特徴など、そこにそれぞれの個性が光りますね。野坂さんの場合は、分析能力の高さに定評がありますが、その手法を少し具体的に教えていただけますか?

野坂

私はワインを10の項目で評価します。まずは、①酸味、②渋味、③テクスチャー(質感)、④フレーバーの4項目。

次に、⑤ティピシティ(典型性)、⑥バランス、⑦余韻、⑧複雑性、⑨ポテンシャル(熟成などの可能性)、⑩バリューを分析します。

そして、お客様におすすめする際には、10の項目に加えて、「ワインのストーリー」「シチュエーション」「その人の嗜好」を加味する。これらを自分の中で分析し、きちんと数値化することで、自信を持っておすすめできるのです。

編集部

頭の中に「マトリクス」があり、その場、その人に合わせて、最適なワインをチョイスする、ということですね。整理された頭脳を持っていないと難しい…すごいですね!

野坂

いえ、実は私は、基本的には猪突猛進型の人間なんですよ。ただ、走り出す前に、さまざまなパターンを想定して、あらゆる状況に対応できるようにはしておきたい。その上で、逆算して物事を考えるクセがついているようです。これも職業病ですかね。

逆算から生み出される至福の時間

編集部

到着点がお客様の口に入るところとして、どのくらいの時点まで逆算するものなんですか?

野坂

そうですね…。料理が出来あがるタイミングもありますし、お客様の前に運ばれるタイミングもある。また、そのお客様が召し上がるタイミングに合わせて、ワインも最適の温度にしたり…と、いくつもの要因がありますので、それぞれを遡って考えています。

編集部

まるで棋士のように全体像を俯瞰するのですね。

野坂

お客様には自由にワインを楽しんでほしい。そのために、私たちソムリエがさまざまな状況を想定していますので。

編集部

料理とワインのペアリングについては、どうお考えですか?

野坂

基本となる法則のようなものはありますので、そのベースは押さえたうえで「遊びがあって、楽しめる」ということも大事だと思っています。意外性があったり、お客様にちょっと考えさせるようなものもいいですよね。

また、ペアリングに加えて、小さなデカンターで1杯分だけデキャンタージュして提供するとか、お客様が自分でワインをブレンドするなんていう体験も、ワインを楽しんでもらうための演出としてはありかなと思っています。

編集部

プロフェッショナルならではのサービスに身を委ね、“ワイン”という船に乗って旅するように時間を過ごす…それはお客様にとって至福の時になりますね。

「分析の達人」の日常と休日

編集部

プライベートで飲むワインも色々分析して考えられるのですか?

野坂

そんなことありませんよ(笑)。例えば、普段よく飲むのはライトな白ワインで、瑞々しくて、ミネラル感があり、身体に沁み込んでいくような癒し系の白ワイン。

フッと肩の力が抜けるようなロゼワインもいいですね。香港に住んでいた頃、飲茶とロゼワインの組み合わせを休日によく楽しんでいました。

編集部

お休みの日はどのように過ごされているのですか?

野坂

最近はクラフトビールとコーヒーが趣味で、近場の色々な店に足を運んでゆったりした時間の流れを楽しんでいます。

編集部

オンとオフの切り替えですね。

野坂 昭彦(のさか・あきひこ)
数々のラグジュアリーホテル、グランメゾンでシェフソムリエとして活躍。東京、パリ、サンフランシスコ、香港など海外のレストランも含め20年以上経験を積み、現在は5つ星ラグジュアリーホテル内の様々なレストランを取り仕切るシェフソムリエ。数々のソムリエコンクールで輝かしい受賞歴を持つ。

■Myワイン評価基準
酸味
渋味
テクスチャー(質感)
フレーバー
ティピシティ(典型性)
バランス
余韻
複雑性
ポテンシャル(熟成などの可能性)
バリュー

■野坂昭彦さんがセレクトするおすすめワイン&詳しいプロフィールは こちら

 

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WINE@MAGAZINE編集部
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