「ワインって、開けたら1本飲み切らないといけないんでしょ?」と言われることが度々あります。
通常サイズのワインボトルは750mlなので、余程の酒豪でない限り1人で1本は飲み切れないし、2人でも少し余ってしまう場合があるかもしれません。
確かに、一度開けたワインの保存性はそれほど高くありませんが、「絶対飲み切らないといけない」というわけでもありません。むしろそのせいで、自宅でワインを飲む機会が減っているのだとしたらもったいないことです。
飲み切れなくても大丈夫!難しい保存方法も一切なし!
ワイン好きの筆者が、また世の多くのワイン好きが、自宅で1本のワインをどのように楽しんでいるのかをご紹介します!
この記事の目次
スパークリングワインも、一度に飲み切らなくて大丈夫!
「開けたらすぐに飲み切らなきゃいけない」という“強迫観念”にとらわれる筆頭がスパークリングワインではないでしょうか。なぜなら、栓を抜いたその場からガスが抜けていってしまうから。
ペットボトルの炭酸飲料の飲みかけを、キャップをしっかり閉めて冷蔵庫で保管しても、翌日にはもうほとんどガス抜きの液体になっていますよね。ビールなんて、缶でも瓶でも、そもそも飲み残しを保存する容器になっていません。もし密閉できる容器に移して保管したとしても、ビールのガスのほとんどは炭酸飲料のガスと同種なので、やはり、翌日にはガス抜きの液体になっているはずです、たぶん。
これらのガス(泡)が抜けるスピードを考えると、スパークリングワインも数日保存ができるなんて思いも寄りませんよね。ですが、できるんです!「シャンパンストッパー」で栓をすれば、だんだん弱くはなりますが、2~3日程度なら“スパーク”を楽しむことができるでしょう。
その理由は「シャンパンストッパー」が魔法の道具だから、ではなく、スパークリングワインのガス(泡)の“質”に寄るところ。なので、“すべての”と言い切れないのが残念なところではあります。
スパークリングワインのガス(泡)の造り方は大きく分けて5種類あるのですが、「シャンパン」や「カバ」に代表される瓶内二次発酵という造り方のガス(泡)は、液体にしっかりと二酸化炭素が溶け込んでいるので、きめ細かくてモチがいい。
一方、炭酸飲料などは液体を容器に詰めた後、後からガスを注入しているのです。ビールはアルコール発酵時に発生する二酸化炭素が液体に溶け込んでいますが、それだけだとガス圧が弱いので、缶や瓶に詰める際に別途ガスを注入しているものがほとんどです。
スパークリングワインにも、一部低価格帯のものだと「ガス注入方式」のものもあるので、これだと炭酸飲料などと同じです。でも、丁寧に造られたスパークリングワインであればワイン自体もおいしいので、ガスが弱くなっても十分楽しめます。
それでもどうしても、ガスが抜けて味が落ちてしまったら、サングリアにしてしまいましょう!詳しくはカンタン&癒される “おウチでサングリア”!飲み残しワインのおいしいアレンジ術をご覧ください。サングリアのレシピも紹介しています!
2,000円前後のワインだったら、冷蔵庫保管で2~3日はOK
「ワインって、開けたらどれくらい持ちますか?」というのもよく聞かれる質問です。この回答は一概には言えません。なぜなら、中身のワインの“質”に寄るところが大きいからです。
例えば、いま日本で比較的人気のある「酸化防止剤無添加ワイン」。これは、即飲み切らないといけないワインです。なぜなら、酸化防止剤が無添加なので、抜栓したらどんどんと酸化してしまうからです。
ですが、ワインショップなどで2,000円前後で購入したワインであれば、抜いたコルクを再び押し込めて冷蔵庫で保存すれば、2~3日はおいしく飲めるはずです。グラス1杯、およそ100~120ml程度だと思うので、2人で飲むなら1日1杯を3日です。
ボトル内の空気を抜くことができる栓を利用すればもう少し長く保存できるでしょう。一人の家飲みでも、ワインボトルを開けるのに躊躇しなくても大丈夫です!
また、この価格帯のワインだと「スクリューキャップ」のワインも多く販売しています。スクリューキャップは、コルク栓に比べると酸素透過率が低いので、開閉が楽なだけではなく、保存による酸化防止の点でも、コルクに比べると優れています。
どんな栓を使っても、赤でも白でも、保存はできるだけ冷蔵庫で。ワインは、酸化による品質劣化だけではなく、雑菌の繁殖による腐敗の危険もありますので、それを防ぐには、冷蔵庫保管が安心です。
5,000円以上のワインなら、1週間ほど時間をかけてゆっくり楽しむ
なぜワインは「開けたらなるべく早く飲み切らなければいけない」と言われるのかと言うと、酸化により、味が変化するからです。
酸化するのはワインに限った話ではありません。リンゴは、切り口をそのまま放置しておくと、茶色く変色して味もぼやけた感じになります。これは酸化による変化です。
酸化について細かい話をすると、次第にワインのハナシではなく化学のハナシになってしまうので控えますが、アルコールやタンニンなどが酸素に触れると化学変化して風味が変わるということです。
ワインの入ったグラスをクルクル回しているアレ(=スワリング)や、ボトルから別のガラス容器にわざわざ移し替えているアレ(=デキャンタージュ)は、まさに、ワインを空気(酸素)に触れさせて化学変化をさせているところです。高級ワインほど、飲む前にわざわざ空気(酸素)に触れさせる行為をしますね。
それを逆手に取って(?)、そこそこ“いいワイン”を、1週間くらい時間をかけて、ゆっくり飲んでみるのも、ワイン好きのマニアックな楽しみ方です。そしてそれは、ワインならではの飲み方、楽しみ方だと思います。同じワインなのに毎日微妙に違う味わいを楽しめ、開けた初日より3日目の方がおいしい、なんてことも、よくある話です。
「思った以上にいつまでもおいしく飲めてビックリ!」や「3日目でもう香りも飛び、味もへたっちゃったな…」なんてこともあります。そんな驚きやガッカリも含めて、ワインは楽しいお酒だと思うのです。
飲めなくなっても捨てないで!ワインの“第二の人生”の始まり
ワインの質と酸化の程度によって、おいしくもなればまずくもなってしまうのがワインの不思議なところ。
あまりにも放置しすぎて、香りが飛んでしまった、凡庸な味わいになってしまった、そんなワインでも捨てないで!せっかく購入したワインが好みの味ではなかった場合も、ぜひワインに“第二の人生”を歩ませてください!
ワインは、ボトルからグラスに注いで、割ったり足したりせずにそのままを楽しむお酒ですが、割ったり足したりしては“いけない”お酒ではありません。
先ほども少しご紹介しましたが、代表的なものに「サングリア」があります。サングリアは、ワインにフルーツなどを漬け込んだお酒で、飲み残して風味に乏しくなったワインを再びおいしくしてくれる、スペイン発祥の「フレーヴァードワイン」です。カンタン&癒される “おウチでサングリア”!飲み残しワインのおいしいアレンジ術に様々なレシピを載せていますので、是非ご覧ください。
また、料理酒としても優秀な“ワイン”。和食には、料理酒として日本酒を使いますが、もちろんフレンチではワインを使います。
料理にワインを使う目的は、生臭さの消去や香り付け、酸味を付けるなど様々あります。もし購入した赤ワインが渋すぎて飲みにくい場合、硬いお肉を漬け込んでみてください。タンニンが筋繊維のたんぱく質を分解する、という研究結果もあり、柔らかくおいしいお肉に変わっていることでしょう。
友人が、固形ルーを使った普通のカレーを、水の代わりに赤ワインで作った話をしてくれました。ビーフシチューに赤ワインを入れるのは有名ですが、それは、料理にコクをもたらしてくれるから。それと同様にカレーでもやってみたというわけです。
結果は…酸味が強く出すぎてしまい失敗だったとか(笑) 入れるワインの量や、使う固形ルーの種類にも寄るかと思うので、また工夫して挑戦してみるとのこと。次の機会に成功談を紹介できたらと思います。
具体的な料理やワインを使ったスイーツなどのレシピは、今後機会があったら書いてみたいと思いますし、“プロの技”も紹介できたら面白いですね。
ということで、「飲み切れないかもしれない…」と逡巡することなく、気軽にお家ワインを楽しんでくださいね!