ワインテイスティングの前には、カレーなどの刺激物は摂らないのが基本。でも「カレーを堪能すること」が目的なら話は違ってきます。カレーは辛さだけじゃない!様々なスパイスの香りとうま味豊かな味わいがあり、それらを引き立ててくれるのがワインなのです。
「ワインもカレーも大好き!」という編集部メンバーが気合を入れて、今回は8種のペアリングを選出。水やビールは口内をリセットしてくれるという意味では有効ですが、カレーをさらにおいしくしてくれるのは“ワイン”!カレーのタイプ別に、おすすめのワインを紹介していきます。
この記事の目次
野菜たっぷりのスープカレー×ハーブ香る爽やかな白
スパイスはおいしさだけでなく、健康につながる効能を持っています。そんな健康志向の高まりも手伝ってか、野菜が主役のカレーが最近増えています。雑穀米などと合わせたスープ仕立てのカレーは美容にもいいということで、特に女性のファンが多いよう。
そんな野菜たっぷりのカレーにおすすめなのは、フレッシュな柑橘類やハーブのニュアンスを持った白ワイン。ジューシーな口当たりと爽やかな酸味がぴったりです。おすすめは、わずかな発泡が舌に心地いいこんな1本。見つめてくるラベルが印象的で、なんとめずらしい1000ml(通常は750ml)のワインです。
グリーンカレー×ライチ香るアロマティックな白
レトルトや簡単に作れるペーストなども増え、すっかり家庭でもメジャーなカレーとなったのが、グリーンカレー。しっかり辛いけれど、ココナッツミルクの甘みや香りとともに、ナンプラーの独特の香りとうま味が相まったエスニック感がたまりません。
グリーンカレーに合わせてほしいのは、意外かもしれませんが、フランス・アルザス地方の白ワイン。ライチや白いバラ、花の蜜のような芳醇な香りがあり、白コショウのようなスパイス感もほのかに感じさせてくれるのが、ゲヴェルツトラミネール種のワインです。ライチや花の蜜…東南アジアのエスニック・ワールドにしっかり同調します!
シーフードカレー×酸と甘みが好バランスの白
エビやイカに、牡蠣や帆立…魚介のうま味たっぷりのエキスがギュッと詰まったシーフードカレーは、味はもちろん、ヴィジュアル的にもそそられるものがあります。あっさりとしているものの“出汁感”が強いカレーなので、ワインが飲みたくなるカレーとしてはかなり上位にくるのではないでしょうか。
南仏のブイヤベース感覚で、キリッと冷やしたドライなロゼを合わせるのもいいですが、シトラス、ハチミツ、桃などのアロマが絶妙に混ざり合った、香り豊かな白ワインがぴったり。フランス・ローヌ地方のヴィオニエ種の白ワインが代表的ですが、編集部ではちょっと変化球的なワインを探究…適度な酸と甘みが良いバランスのブラジルの1本を発見しました。
「ザ・日本のカレー」×旨みと深みのあるロゼ
東は豚、西は牛と使われる肉の傾向はあれど、ジャガイモ、ニンジン、タマネギの甘みとちょっとモッタリとしたルーで作られる「ザ・日本のカレー」は、やはり日本人には欠かせない、心の拠り所のようなカレーと言えるでしょう。
辛みが少ないので、どっしり感のある赤ワインもいいのですが、編集部のおすすめはロゼ。スパイシーなシラー種とジューシーなグルナッシュ種のバランス良いブレンドの1本が、今回ピタリとハマりました。深みのあるやわらかい果実の風味と丸みのある酸が、こっくりと煮込まれた日本のカレーによく合います。
スパイシーなチキンカレー×グラマラスなロゼ
昨今の“スパイスカレー人気”のなかで、定番中の定番のメニューと言えるのが、このチキンカレーでしょう。ターメリック(ウコン)やカルダモンなどの複数のスパイスを組み合わせて豊潤な香りを引き出し、うま味は骨付き鶏肉からしっかりと。カイエンヌペッパーの辛みが全体を貫きます。
そんな本格派のチキンカレーには、コクと力強さを感じる豊かな果実味の辛口ロゼを。今回選んだこのロゼは、ザクロやチェリーのような香りがあり、スパイスの魅力あふれるチキンカレー以外に、中華や肉料理にもよく合うワイン。有名にして王道の1本です。
マイルドなバターチキンカレー×第3アロマ漂う熟成赤
同じ本格派のチキンカレーでも、マイルドな辛みとバターのコクが魅力なのが、バターチキンカレー。サラッとしたテクスチャーで野菜や豆が具材となったカレーはインド南部に多く、北部に多いのはこのバターをたっぷり入れたカレーだとか。
前述のローヌの力強いロゼも合うのですが、コックリ&マイルドな感じがどことなく「ザ・日本のカレー」にも通じるなぁ…ということで、カレーのお供「福神漬け」的なニュアンスを求めて選んだのは、大胆にも熟成したブルゴーニュ、ピノ・ノワールの1本!紅茶やドライフルーツ、さらに枯葉のニュアンスなどの熟成による第3アロマが絶妙。一度はぜひ試してほしいペアリングです。
スパイス感もある欧風ビーフカレー×濃密な果実味の赤
インドからの移民がイギリスで広め、そして明治時代に日本へと伝わり、フォン・ド・ヴォーなどを使った欧風の煮込み料理の手法と重なり、“ホテルのカレー”としても人気を博したのが、欧風ビーフカレーです。そんな西洋式のカレーも、最近はスパイスを巧みに取り入れたものが多くなってきました。
香りも味わいもしっかりとした欧風ビーフカレーに合わせたいのは、濃密な果実味とほのかなスパイス感があるフルボディの赤ワイン。今回編集部のメンバーの舌と心をギュッと捉えたのは、 “オーストラリア・シラーズの首都”とも言われる「バロッサ・ヴァレー」の良いところを存分に表現した1本。欧風ビーフカレーの他にも、うま味が凝縮した「焼きカレー」とも合うはずです。
ジビエ&キーマカレー×繊細な渋みが心地良い赤
最後のペアリングは、ちょっと“こだわり系のカレー”で一考。グリルした鹿肉をのせたキーマカレーです。キーマカレーの「キーマ」は、ヒンディー語で挽肉を意味しますが、インドでは地域や宗教の事情から牛と豚を避け、肉は羊・山羊・鶏を使うことが多いのだとか。今回は羊肉のキーマで、さらにジビエの赤身肉の代表格、鹿肉のステーキがのった豪華版です。
「羊肉や鹿肉の風味にインパクトはあるけど、全体の印象としては濃厚なカレーじゃない…」少し悩みながらも見つけたペアリングワインは、渋みはしっかりしているけれども、繊細な舌触りのタンニンを持つ赤。イタリア北部、ピエモンテのネッビオーロ種の1本でした。ローズマリーのようなハーブやキノコの風味もあり、羊肉や鹿肉にぴったりのワインです。
自分なりの<カレー×ワイン>の組み合わせも探究しよう!
料理とワインの組み合わせ(ペアリング)には、基本法則のようなものがあります。中には、ものすごい相乗効果を発揮して「マリアージュ」とも言うべき現象が口内で起こります。
*詳しく知りたい方は、みんなが言う「マリアージュ」って何? ペアリングとどう違う? 3原則&定番も一挙紹介!をチェック!
カレーとワインの組み合わせも、経験を重ねていくうちに自分なりの好みのものへと深まっていくはず。そこで、最後にワインのタイプ別のマトリックスを紹介します。
味わいのマトリックスからワインを探す!
ワインのタイプ別のマトリックスがあり、酸味、フルーティ感(果実味)、渋みや苦味などのポイントから、より具体的なワインを探せるようになっています。
■ワインのマトリックスは こちら
時間をかけて生まれる熟成感や、独特のブドウやワイン醸造法から生まれる甘味も、ペアリングやマリアージュには重要なポイント。カレーとともに、いろいろな組み合わせをぜひ試してみてください。