「家飲みで、ワインをおいしく楽しみたい!」「でも家では、フレンチやイタリアンというよりも、お惣菜系のつまみでビールやチューハイを飲む方がお手軽なんだよな…」なんて思っている方、いませんか?
そんなあなたにぜひ試してほしいのが、“ワインdeおウチ居酒屋”。
「とりあえずの1本、万能選手を教えて!」ということであれば、辛口のロゼワインがおすすめ。白ワインと赤ワインの両方の要素を持ち、リーズナブルなものが多いロゼワインは、まさに家ごはんの最良の友。いろいろと幅広い組み合わせが楽しめます。
でも、ワイン好きならもうちょっと深く楽しんでほしいところ!そこで、家ごはんでも居酒屋でもおなじみの晩酌メニューに、どんなワインを合わせたらおいしく楽しめるかを、具体的にお教えします。
最後にペアリングの4つの基本ポイントも伝授しますので、それを参考にしながら自分なりのおいしい組み合わせを見つけるもよし!居酒屋的定番つまみを、夜な夜なワインで楽しみましょう。
この記事の目次
【ポテトサラダ】は、ねっとり系かゴロゴロ系かで変わる?
みんな大好き、“ポテサラ”。料理専門誌でも特集が組まれるくらい、定番の一品と言えるでしょう。とは言え、一口に「ポテトサラダ」と言ってもいろいろ。
具材はキュウリやニンジン、タマネギのスライスにハム。ジャガイモがマヨネーズで少し練られて、ちょっとねっとりした食感という“王道ポテサラ”には、マイルドな酸味とうま味がある醸し系の白ワインがおすすめ。フランスや南アフリカなどのシュナン・ブランのワインなどが合います。
また、スペインバルなどでも人気の「ロシア風ポテトサラダ」は、角切り野菜のゴロッとした食感が残るタイプ。“ロシア風”という名が付いていますが、スペインやイタリア、南仏でよく食べられているというこのポテサラは、ゆで卵とツナが味の決め手です。
そこで、おすすめしたいのはフレッシュハーブの香りがあるドライなロゼ。プロヴァンスやスペインのロゼなら安価なものも多いので、家飲みにもピッタリです。
【タタキきゅうり・漬物】には、やさしいボディのワインを
みずみずしい食感と青い香りが魅力のキュウリ。ガブリとやる前に何をつけるかで、おすすめのワインがちょっと変わります。
もろみ味噌や麦味噌をつけるなら、日本のソーヴィニョン・ブランや甲州を。13.5度以上のアルコールがあるパワフル系の白ワインだと、ワインが勝ってしまいますので要注意です。梅しそ系のものをつけるならガメイ、中華風のスパイシーなピリ辛仕立てならシラーといった赤ワインが合います。
浅漬けやピクルスにしたキュウリには、スペインのカバがおすすめ。ちょっぴり青くほろ苦いニュアンスが共通しているので、不思議とよく合います。いずれにしても、アルコール度数が低めで、やさしい味わいのものをセレクトしましょう。
【焼鳥】お惣菜でも人気。あなたはタレ派?塩派?
商店街に立ち込める煙とにおいに抗えず…また、スーパーのお惣菜コーナーでついつい手にとってしまうのが、焼鳥ではないでしょうか。
肉の部位によっても異なりますが、タレの焼鳥の場合は、その甘味と香ばしい焦げ目の風味がマスカット・ベーリーAやピノ・ノワールの赤ワインととてもよく合います。ほんのり冷やし気味の10〜12℃くらいで飲むのがおすすめです。
塩焼きの場合は、シンプルな鶏肉のうま味に合わせて、樽香がついていないシャルドネや甲州が定番。ステンレスタンク熟成でピュア&ストレートな味わいの白ワインは値段もリーズナブルなものも多くて、好相性です。
【ホッケ開き・焼ししゃも】焼魚は苦味&うま味がカギ。
ご飯のおかずとしても、酒のアテとしても人気の焼魚。なかでも、ホッケやししゃもは居酒屋メニューの定番ですね。
日本酒をクイッといく感覚でぜひ試していただきたいのは、ほのかな苦味とうま味があって、舌を軽く締めるようなミネラル感を感じる白ワイン。日本の甲州もよく合いますが、イタリア・シチリアのグリッロやカンバーニア州のフィアーノ、また、スペインやポルトガルのアルバリーニョなど、海に近いエリアで造られる白ワインに相性抜群なもの多し!
ふだんあまり飲んだことがない土着系の品種のワインにも、リーズナブルで食事に合うものが多いので、ワインショップでぜひチェックしてみてください。
【アジフライ・唐揚げ】揚げものはソースもポイントに。
揚げものは、いつの世もお惣菜のトップ人気!ビールが定番でしょうが、ワインペアリングもぜひ楽しんでください。
サクサクの衣やジュワッとした脂のうま味は、ビールと同様、シュワシュワした飲み物が合うのは当然。手に入りやすいスペインのカバやイタリアのプロセッコは、間違いない選択です。
でも、ワインペアリングで注目してほしいのは、揚げものにつけるソースです。おなじみのウスターソースや中濃ソースをかけて食べるなら、樽香の効いたパワフル系シャルドネ。アルコール度数が高めで、しっかりとした果実味があるものでいきましょう!
一方、アジフライやエビフライなどで、タルタルソースをかけて食べるときにおすすめなのは、ロゼ。ドライなロゼもOKですが、ほんのり甘味を感じるフランスのロゼ・ダンジュや日本のキャンベル・アーリーのロゼなどもおすすめです。
【肉じゃが・肉豆腐・モツ煮】煮物&ワインを嗜むのはツウの証!
煮込み料理とワインの組み合わせは、西洋でも基本。ならば、日本の煮物だってワインにとてもよく合うはずです。この“煮物×ワイン”は、日本でもワイン通の間では長く、深く楽しまれてきたペアリングでもあります。
煮物も肉じゃがや肉豆腐、モツ煮など、食材や調味料によっていろいろな味わいのものがありますが、機軸となるのは、出汁の風味、そしてすべて同量の黄金比で使われる「しょうゆ、砂糖、みりん」です。
これらの風味の要素を持ち、グッと受け止めてくれるワインと言えば、熟成感のあるピノ・ノワールが代表格。ブルゴーニュのものを筆頭に高価なものが多いのは確かですが、リーズナブルなものもちゃんとあります。
また、グルナッシュやマスカット・ベーリーAなどの、ほんのり甘やかな果実味があって、タンニン少なめのマイルドな赤もおすすめです。ワイン選びに慣れていない人は、臆せずワインショップで相談すること。家飲みにピッタリの“カリテ・プリなワイン”を手にできるはずです。
ワインペアリング、4つの基本ポイント
いろいろな組み合わせを具体的に紹介してきましたが、味の好みは千差万別ですし、「おいしい!」を生み出すパターンも一つではありません。
そこでまとめとして、また「もう一歩深めて楽しみたい」という方のために、「ペアリングの4つの基本ポイント」をご紹介します。ちょっと難しい言葉も出てきますが、まずは読んでみてください。
■ポイント1【風味の同調】
料理とワインに共通しているor似ている香りや味わいを“フック(カギ)”として、おいしさを膨らませるという手法です。焼き目の香ばしさがある料理と樽の香りがあるワインを合わせたり、フルーツやスパイスの香りで共通項を見つけたり…これは王道のペアリング術ですね。
■ポイント2【質感の同調】
香りや味わいではなく、テクスチャーの同調。つまり、質感や舌触りを合わせるという手法です。例えば、サクっとした食感の料理に、口の中で細かな泡が弾けるスパークリングワインを合わせると心地よい印象が生まれます。
■ポイント3【補完】
これは料理の味わいにない要素をワインで補うという手法です。例えば、レモンを搾って仕上げるような料理にフレッシュな酸味のある白ワインを合わせる、なんていうパターンです。
■ポイント4【中和】
料理とワイン両方の個性を活かして、あえて対局的なものを合わせることで味わいのバランスをとるという、ちょっと高度な手法です。例えば、脂のある肉料理に渋味がある赤ワインを合わせたり、塩味の強いブルーチーズに甘口のワインを合わせたりするパターンがこれにあたります。
ワインのマトリックスも参考に
居酒屋的な晩酌のペアリングとして、どんなワインを合わせたらよいかをお伝えしましたが、自分や一緒に食事をする相手の好みがハッキリしている場合は、もちろんそれも大事なポイントとなります。
酸味、フルーティ感(果実味)、渋みや苦味などのポイントから、より具体的なワインを探せるように、白・赤・ロゼ・スパークリングとワインのタイプ別のマトリックスも、最後にご紹介しておきます。
■ワインのマトリックスは こちら
時間をかけて生まれる熟成感や、独特のブドウやワイン醸造法から生まれる甘味も、ペアリングには重要なポイントでしたね。まずは基本の組み合わせを試してみて、慣れてきたら、ぜひあなた好みの“おつまみ料理×ワイン”を探求してみてください。