家飲みで手軽にワインを楽しみたい。そんな日常の強い味方となってくれるワインの一つが、Cava(カバ)でしょう。
カバは、原産地呼称D.O.を持つスペインのスパークリングワインですが、1,000円台から買えて、しかもシュワシュワ感も心地良くて、最高!リーズナブルなのにシャンパンと同じ製法で造られるカバは、コストパフォーマンスの点でも優れています。
「手軽でコスパ最高!」という点では、昨今の“缶詰フード”もそう。種類が豊富で、コンビニやスーパーでの品揃えも充実しています。
そこで今回は「カバと缶詰フードのペアリング」がテーマ。カバと一口に言っても実は様々なものがあるので、特徴があって入手しやすい3タイプごとに、ペアリングのポイントやコツをご紹介します。
D.O.Cava(カバ原産地呼称統制委員会)主催の「カバ・プロフェッショナル・セミナー」で、スペインワインに精通したソムリエ菊池貴行さんに教わったことをもとに、みなさんが家で再現しやすい組み合わせを追求。具体的な楽しみ方をご紹介していきます。
【定番のフレッシュ系カバ】オイルサーディンが好相性
最も多く流通していて、スーパーやコンビニでも定番となっているのが、辛口のカバ。柑橘やハーブの香りがあり、爽やかな酸味があって、後味にほのかな苦みを感じる軽快なものがほとんどです。
カバは残糖分量による区分があり、ラベルにもそれが表記されます。「Brut(ブリュット)」という文字が書かれている大半のものは、軽やかでドライな味わいのものになります。
■詳しく知りたい方は、「カバ」?「カヴァ」?コスパ最高&家飲みの味方、スペインのcavaを徹底解説 をチェック!
“海のミネラル感”とも言われるかすかな苦味があり、泡も元気なフレッシュ系カバには、全般的に魚介類がよく合います。実際に、スペインの地中海沿岸の街では、イワシやサバなどの青魚をシンプルに塩焼きにして食べる光景がよく見られます。
ただし、不飽和脂肪酸を多く含む青魚に、ワインをそのまま合わせてしまうと、ワインの亜硫酸と鉄イオンの反応により「生臭さ」が生まれてしまいます。
ここで重要な役割を果たしてくれるのが、オリーブオイル、つまり油です。油分がプラスされることによって、生臭さが緩和。おなじみの「魚介のカルパッチョ」もそれを活かした料理というわけです。
缶詰フードの定番で、油分がプラスされた青魚といえば「オイルサーディン」!
そのままでもおいしいですが、バゲットにのせて、お好みでハーブをプラスすれば、立派なオードブルに。柑橘の香りや爽やかな酸味があるカバと合わないはずがありません。「ツナ缶」やオリーブオイル漬けの「サバ缶」も同様に楽しめるでしょう。
フレッシュ&ドライな軽快カバならこれ!
飲み飽きない万能系のカバ。温度が上がっても、清涼感が続く味わいが魅力的なので、カバ初心者は、迷わずこの1本からスタートしてみましょう。
【果実味あるロゼのカバ】鮭・サーモンで最強タッグ
カバには、ロゼ(ロサード)もあり、日本のスーパーでも“ロゼ・カバ”を見かける機会も増えてきました。
“ロゼ・カバ”を造ることができる品種には、ガルナッチャ・ティンタ(グルナッシュ)やピノ・ノワール、モナストレル、さらにトレパットなんていう地場品種もあり、実はバラエティ豊富なのですが、今回は日本でも多く流通している、イチゴなどの赤いベリーを思わせる果実味がしっかりあるタイプを例にとってみましょう。
おすすめの缶詰フードは「鮭ハラス」。旨みの強い鮭、サーモンは好相性です。エビやカニなどの甲殻類も“ロゼ・カバ”と相性がいいので、「カニ缶」を使ったサラダやパスタなどもおすすめです。
また、缶詰フードではありませんが、旨みの強いサーモンは本当によく合うので、スモークサーモンを使った料理は、全般的におすすめ!
クリームチーズなどを合わせたオードブル、サラダ、手巻き寿司…。のせるだけでできるような簡単なものでOK。“ロゼ・カバ”が持つ爽やかな果実味と酸味、スモークサーモンの塩味と旨みがしっかりとタッグを組むと、最高においしいペアリングとなります。
初めてのロゼ・カバならこれ!
見た目から心ときめくピンク色と細やかな泡、しっかりした果実味は、3週間以上かけて行われる発酵とマセレーションから。今、注目のロゼ・カバです。
【コク旨な熟成カバ】ピリッと黒胡椒が効いたチキン・焼鳥
3つめは、熟成感のあるコク旨系のカバ。カバはその熟成期間によっても、分類が定められています。18ヶ月以上の熟成のものは「Reserva(レセルバ)」、30ヶ月以上の熟成のカバは、辛口のみで「Gran Reserva(グラン・レセルバ)」と名乗ることができます。
グラン・レセルバは、コンビニではなく、品揃えが良い店やワインショップでないと置いていないと思いますが、それでも2,000円台で買えるものも多く、やはりコスパはかなり高いワインと言えるでしょう。
熟成感のあるカバは、完熟した果実味に加えてアーモンドやトーストのようなアロマがあるので、バターソテーしたキノコ料理、黒胡椒を効かせた地鶏の炭火焼、じっくり焼き上げたローストチキンなどがよく合います。
缶詰フードなら「炭火焼鳥(塩味)」や「鶏ハラミ」がおすすめで、ポイントは、黒胡椒や焦げの香ばしさ。ちょっと物足りなければ、黒胡椒を追加で振ってみるのがおすすめです。
熟成グラン・レセルバならこれ!
4年以上の熟成。クルミ、パイナップル、ドライフルーツ、ハチミツ、カモミールなど複雑な香り、クリーミーな泡…。2,000円台でグラン・レセルバの魅力が存分に味わえる1本です。
進化を続けるカバに注目!
photo:©︎ D.O. CAVA
2020年の夏、世界中が新型コロナウィルスの猛威に翻弄される中で、D.O.カバは大きな改革を行いました。
改めて、主要生産指定地域が4つに整理されただけでなく、最低18ヶ月の熟成を必要とするReserva(レセルバ)以上を擁するカテゴリー「Cava de Guarda Superior(カバ・デ・グアルダ・スペリオール)」のカバはすべて、2025年までに100%オーガニックになると宣言したのです。
他にも、ブドウの圧搾から醸造を分業せずに一箇所で行った生産者のカバには「Elaborador Integral(統合的な生産者)」として認証され、新たなスタンプが押されることが決まり、地球温暖化の影響がみられる中、これまでメインとなってこなかった晩熟の品種やフィロキセラ以前にあった品種の復活などにも熱い視線が注がれているとのレポートも。
進化を続けるカバの動向にこれからも注目しながら、「手軽にワインを楽しみたい!」というみなさんに役立つ情報を、今後もお伝えしていきたいと思います。
photo:©︎ D.O. CAVA
「カバ」?「カヴァ」?コスパ最高&家飲みの味方、スペインのcavaを徹底解説
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